監修:
東京大学大学院医学系研究科 腎臓・内分泌内科 教授 南学 正臣 先生
東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 講師 加藤 秀樹 先生

非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の治療法は?

従来、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の治療として、血漿交換血漿輸注といった血漿療法が行われてきましたが、近年、aHUSの根本的な原因が徐々に明らかになるにつれ、より効果的で安全な治療法が見つかってきています。

補体制御異常によるaHUSで最も多くみられる遺伝子変異型であるCFH(補体H因子)変異を有する
患者さんの70%、患者さんの全体でも65%は、血漿療法を行っても初発後1年以内に死亡、透析施行、または慢性腎不全などの障害を起こします1

Treatment-for-aHUS

これまでの治療法

従来、aHUSの治療として、血漿交換や血漿輸注といった血漿療法が行われてきました。
これらの治療は、時間がかかるだけでなく、ブラッドアクセス(血液を体内循環させるときの出入り口)を設けたり、専門の医療機関に通院したりする必要があります1.2

また、血漿交換や血漿輸注はaHUSの根本的な治療法ではなく、その効果としては、異常な補体関連蛋白や抗H因子抗体を除去し、正常補体関連蛋白を補充することにあります3

aHUSによって腎不全を発症し、透析や腎臓移植が必要となる患者さんもいます。ただし、透析や腎臓移植はaHUSを根本的に治療する方法ではありません。また、透析や腎臓移植にも侵襲やリスクが伴います4

近年の動向

現在、aHUSの治療薬として、モノクローナル抗体を用いたエクリズマブという薬が使用できます。この薬は、aHUS患者さんの必要以上に活性化した補体を抑える働きがあります。

あなたに合ったaHUSの治療法の選択や経過観察/モニタリングの頻度などについては、主治医とよく話し合って決めましょう。

炎症は、外傷や病原菌の侵入などの刺激を受けたときに体に起こる反応を指します。炎症が起こった場所では、免疫にかかわる細胞や成分が集まり、腫れや発熱などが起こります。 筋肉が使われたときにできる老廃物の一つで尿中に排泄されます。腎臓の機能が低下していると排泄できずに血中のクレアチニンの量(血清クレアチニン)が増えるので、腎臓の機能を評価する指標として用いられます。 血液のうち、淡黄色の液体部分です。赤血球、白血球、その他のさまざまな成分が含まれます。 血液を特別な機械に通して血漿のみを取り除き、新しい血漿と入れ替える治療法です。 血中にある成分の一つで、出血などをしたときに血管の傷口に集合し、血液を固めて出血を止める働きをします。補体制御異常によるaHUSでは、血管の内側の傷に反応し、血管の中で集合してさまざまな血中の成分とともに血栓をつくります。 血液は、赤血球などの血球成分と、血漿と呼ばれる液体成分で構成されています。血漿療法は、 病気の原因となるものが血漿に含まれているときに行われる治療法で、血漿交換や血漿輸注などがあります。 新しい血漿を輸血のように点滴注射する治療法です。 血栓は、血管内で血液が固まったものです。通常、切り傷や外傷を負ったときに血液が固まって出血を止めます。しかし、時としてこのようなかたまりが静脈や動脈の血流を遮断し、危険な症状を引き起こすことがあります。補体制御異常によるaHUS では、全身の細い血管に多数の血栓ができることによって重大な合併症が起こる場合があります。 TMAは、全身の細い血管で多数の血栓が形成される病態を指し、「血小板数の減少(血小板減少症)」「微小血管障害性溶血」「臓器の障害」といった症状が現れます。 大腸の下部。 腎臓は体の老廃物を尿中に排泄する役割を持っています。透析は、腎臓の働きが低下した末期腎不全(ESRD)の患者さんの血液を人工的にきれいにする治療法です。 脳の障害。脳の動脈が詰まったり出血したりして、その障害が起こった部分に血液が供給されなくなると発症することがあります。 「変則的」、「定型でないもの」という意味。 補体制御異常などさまざまな病因により血栓性微小血管症(TMA)が引き起こされ、溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害などの症状が現れます。 水分が過剰に存在することで起こる、体の一部の「むくみ」のことです。 遺伝物質の不可逆的な変化を指します。 免疫システムの一つであり、血中に存在します。健康な体では「補体」は細菌などの外敵の侵入に備えている状態になっており、「補体制御因子」によって上手くコントロールされています。 体内に侵入した細菌などの外敵を攻撃して感染症などから体を守る免疫システムです。 免疫にかかわる補体が過剰に活性化して自分自身の細胞を傷つけることがないように制御する因子です。複数の補体制御因子があります。 補体の活性化を抑制する役割を持つ補体制御因子の一つ。
補体の活性化によって自分自身の細胞を傷つけることがないよう、 補体活性化をコントロールしています。
体内に侵入した細菌などの外敵を攻撃して感染症などから体を守るシステム。 体内にある特定の細胞やタンパク質を標的として認識し作用するよう設計された特殊なタンパク質。